はっくべのブログ(2番地)

書きたいことを書いたのを置いておく場所にしよう

ゲーム感想・FIRE EMBLEM風花雪月

クリアしました。

選んだルートとか仲良くさせているキャラとかで展開が変わるっぽく、ツイートするにはネタバレを防ぎきれないなと思うのでこっちに書きます。周回プレイするつもりなので1周目はこんな道筋を辿ったよっていう感想というよりはレポ。

 

そうそう、初っぱなの主人公選択で迷ったんだった。この手の主人公の性別を選ぶゲームはその時々で変えてるから迷う。だいたい顔グラの好みだけど、世界観を加味してバトル物なら男主人公のが生きやすいかなって選ぶことが多いかも。でも今回は女主人公にしてみた。どっちの見た目も好みだから2周目やるならその時は別にすりゃいっかなって。

 

ロード画面でさっそく喜んでる。シリーズ唯一のプレイ作品かつクリアしたばっかりなので。他作品でも一緒なのかもだけどね。Bボタン押したらジャンプした。かわいい!後々知ったのだけど、コントローラーの傾きに合わせて動くんだってね。かわいい。

 

エーデルガルト率いる黒鷲、ディミトリ率いる青獅子、クロード率いる金鹿のどのクラスを受け持つかでまた悩んだ。気になるキャラは各クラスに分散している。その中で第一印象で誰が一番気になるかって考えたら黒鷲のフェルディナントかなあって。第一声が良かった。自信たっぷり貴族好きです。そういう意味では金鹿のローレンツも。胸元の薔薇あれ生花なのかな、自分で差してるんだよなきっと。

キャラ性能で見た感じだと扱いやすそうなのは青獅子クラス。でも黒鷲も面白そうだなあで二択になった。金鹿は火力に欠けそうな気がするなって。

結局きっと今後の展開で級長と並び立つ場面が出てくるんだろうなって思って、そしたら同性同士で立ってた方がアツいなってなったので、エーデルガルトの黒鷲クラスに決めました。男主人公選んでたら青獅子にしてた。

 

女主人公だったのでシルヴァンは無条件で早々に転入してきてて、もはや最初からいたぐらいの勢いだったからノーカンとして、他所のクラスからの転入第一号はイグナーツとフェリクスでした。これが12月のことで本編がなんか不穏な空気を出してくる。

 

一方で門番が恋バナ振ってきたり(エーデルガルト・フェルディナント・ドロテア)、舞踏会の後で意味ありげにドロテアがでてきたりした。えっ、なにもうそういう時期なの?

 

そしてこれが2月。いろんなキャラが[あなたのクラスに興味があるようです]状態になってやっとスカウト成功ラインにパラが乗ってきた、来月から本格的に引き抜くぞ!って意気込んだ辺り。ローレンツには毎月薔薇を送って、やんわり転入を辞退されてた頃。

なんか急に[この選択で物語が大きく変化します]って出てビビっていっかいゲーム終わらせちゃった。行動力消費しきってなくて。よく考えたら選んでも準備できたら声掛けてってなったかもなのにね。

もちろんエーデルガルトに付き合う方の選択肢を選んだ。で、その後エーデルガルト側に付く方のルートに入る。

教団を裏切ったらクラスの子たちも付いて来ちゃって、元々黒鷲の子はともかく転入してきたばっかりのイグナーツとフェリクスには申し訳なかった。あと忘れかけてるけどシルヴァンも他所の国の子だった。なんかすまん……って思ってたら、主人公は崖から落ちて5年の歳月が流れた。

いや5年て。5年て。

ポカンとしてたらみんな成長してて驚いた。顔グラもだけど、声も。声優さんスゴイね。やるからにはロールプレイしながら楽しんでいるので、教師である以上生徒と特別親密になるのはちょっと……って思ってたけど、こうなると話は違うな?と脳内の私がゲンドウポーズした。

早く引き抜けなかった子たちの成長した姿も見たーい!あわよくば加入させたーーい!って思ってたのに、なんか、みんな、殺しちゃう。主人公で倒せばいいのかと思ってたんだけど違うのか?倒したら悲しげなセリフとBGMを残してくから悲しくなる。結局第二部で加入させられたのリシテアだけだった。ローレンツに関してはそもそも出てきたか?のレベル。こんなことなら第一部のうちに全員引き抜くんだったって後悔した。もはやはよ2周目行きたいのお気持ち。次はなるたけ救うからな…!

そろそろ全員との支援レベルをマックスにしとこって思ったら、ここで指輪イベント。えっ今!?てっきり最終戦後で、直前にセーブできるタイミングがあって、その時点で条件満たしてるキャラ分のイベント見れるやつかと思ってたのに。はわーっとなりながら誰を選ぶか考える。せっかくだからこのルートでしか選べなそうなキャラがいいよな。エーデルガルトかヒューベルトかイエリッツァか。って思ったらソティスもおる!?!?その時点で誰も候補にいなかった場合の救済枠なのか?

なんかエーデルガルトとヒューベルトはそこでくっついて欲しいというか間に入るわけにはいかないなって思ったので、イエリッツァにしました。前にヒューベルトが一時的に協力関係なだけだって言ってたから、仲良くなっといて敵戦力をそぎたい。そんな下心が主な決め手です。

 

レベル上げはちゃんとやってたつもりだったけど最終戦はやや強引クリアになった。まあ勝てたのでヨシ!レア様固てぇね。第二・三形態あるかと思った。

イエリッツァとの後日談、決闘になるのかと思ったら共闘だった。そいえば所属組織はどうなったんや。

 

エンドロールで2人組になるキャラは決まってるわけじゃないらしい。今回の組み合わせ(とついでに戦績)は

フェリクス(231戦146勝)&シルヴァン(269戦136勝)

フェルディナント(267戦118勝)&ベルナデッタ(272戦131勝)

ドロテア(292戦201勝)&ペトラ(311戦170勝)

リンハルト(258戦188勝)&カスパル(377戦227勝)

エーデルガルト(410戦260勝)&ヒューベルト(293戦238勝)

主人公(489戦333勝)&イエリッツァ(163戦93勝)

でした。こうしてみるとヒューベルトすごいな。エーデルガルトも耐久力高くて前線で盾になってもらってたけどこの二人、今回のルート以外では敵になるんでしょ、やば。

フェリクスとシルヴァン、エーデルガルトとヒューベルトは順当だけど、フェルディナントとベルナデッタの組み合わせはあら~~いいですねぇ~ってなったし、ドロテアがペトラとくっつくの余白を考えるとエモかったし、リンハルトとカスパルの珍道中物語すごい読みたい。

 

switchのプレイ通知で気づいてる人もいるだろうけど、かなり没頭してプレイしてました。使える時間のほとんどをつぎ込んだ。楽しかった。もっと他のキャラのことも知りたいし、違うルートも気になるのでDLC買って2周目行ってきます。

映画感想文・THE FIRST SLAM DUNK

 本を読んでの感想文は読書感想文。じゃあ映画は?舞台は?観劇感想文?それだとどっちだかわかんないね。なのでとりあえず映画感想文にしておきます。

 

 名古屋旅行最終日にいももちさん、いてづきさんから与えられた宿題、「スラムダンクの映画を見て感想文を書く」これをこなさないと旅行が終わったとは言えない。なので見てきました。

 私はスラムダンクを見たことがありません。バスケの話なのと、「諦めたらそこで~」と「バスケがしたいです」と「左手は添えるだけ」は知っている。昔、家族が親戚の誰かに貰ったのか2.5頭身くらいのキャラのキーホルダーがあった気がする。確か、赤くてコーンロウとかパンチパーマとかそんなヘアスタイルのキャラだったような……、という程度。そんなミリしらな状態でどれだけ楽しめるのか興味はありました。映画情報公開時に声優がアニメ放映時と変わっていることへ批判が生じたけれど、徐々に「おもしろいじゃん」と受け入れられたのはツイッターで知っている。

 初見って一度しか無いじゃないですか。思ったことを覚えておきたいけれど話の展開に脳のリソースが持って行かれて、思ったことは古い分から順に失われてっちゃう。ツイッターを開いていれば逐一思ったことを書けるのですが、映画館で映画を見るときにツイッターはできない。じゃあ、紙とペンを持ち込んじゃえばいいんじゃない?と前々から思っていました。職場から裏紙をひとつかみとボールペンを胸ポケットに装備し乗り込みました。

 一応断っておくと、片田舎なので劇場内はガラガラです。自分の列と前後の列に誰もいない席を確保し、視線はスクリーン固定で頭を動かさない。紙をめくるなど音を立てる場合は大きめのBGMが流れているタイミングに合わせるなど極力他のお客さまの迷惑にならないようにしました。

 アナログツイッター方式はとてもよかったです。A5サイズの紙を9枚消費しました。手元を見ずに書いているから文字同士が重なっていたり解読不能な部分があったりしています。このメモを元に感想を書きます。

 

 

「おもしろかったあ」「余裕で今まで見たスポーツモノの頂点に立った」「瞬きすらもったいない」「これは映画館で見るからこそ輝く作品」

 これがラストまで見終わったときの感想です。まずつくりがうまい。無駄が無いからダレが無い。ひとつの試合の中で回想を挟んでいきキャラの背景が明らかになっていく様はsteamの雰囲気重視パズルゲーみたいだなって思いました。そういうの好きです。

 そして、試合運びの中にもドラマや成長があり、回想抜きにしても見応えがあるのでただの総集編で終わっていない。そこがすごいです。もう見せ場は終わったかなって思ってもまだ出てくる。残り数秒からの声が消え、動きがスローになり時間が引き延ばされる演出がすごい。まるで自分が体験しているかのように錯覚させられ呼吸すら制御される感覚だった。音と映像の使い方が上手いからこそ成せる業。この作品なんか賞とってます?アカデミー賞とか。取ってなかったら嘘じゃん。あまり数を見ているわけではありませんが、スポーツモノの映画、マンガ、アニメ作品における私の中での1位は「ピンポン」でした。今回のスラムダンクはそれを抑えて1位に君臨しました。

 

 ここからは概ねメモに書かれた順番通りにいきます。

「すげえ、CGなのにアニメだし実写っぽい」

 近年の映画でキャラが平面イラストじゃなくてCGで表現されているものがあるじゃないですか。それがなんとなく苦手なんですよね。粘土みたいな質感を想像しちゃうけどクレイアニメとは違うわけで、どう受け取って良いかわからない困惑がノイズになってしまって作品に入り込めない的な。CGで表現しなくてはいけない必要性を知らしめてくれない限りは使って欲しくないと思う過激派です。この映画も冒頭でキャラがCGであるのを見た瞬間、眉をひそめましたがそれも早々に解消されました。マンガ調なのに実写っぽい。キャラクターそれぞれに血が通っている作品だからこそ肉を与える必要がある。そう思わせるほどの説得力。アニメでも実写でも表現することの出来ない領域だと思いました。

 

「ちゃんとバスケットボールの音だ」

 この作品、音にもこだわっている。バスケットボールの弾む音、本物だあ。ちょっと重くて固くてぶつかると痛いのを思い出しました。

 試合中のBGMはいっそうるさいくらいに鳴っているから無音が引き立つ。計算された緩急がものすごい。

 

「何その顔」「顔こわ」「モブ顔こわ」「顔こわ」「こわ」

 あまりにも書かれすぎてて取り上げないわけにはいかなかった。顔こわ。高校生ってあんな顔してたっけ。これが書かれているのがメモ1~2枚目なので次第に慣れてはきた模様。バスケットボール選手だから体格が良いにせよ威圧感ハンパない。リアルにいたら10mくらいは距離を取りたい。

 

「なんでそんな頭に?」「性格変わった?」「髪型、ソータに寄せたんだ」「リョータ性格変わった?」

 前項に近いことは近い感想。リョータについて。かわいいふわふわヘアーがどうしてあんな風になったのかと。何かこだわりが無いとそうはならなくない?と思っていました。が、回想シーンでのソータをみると毛質こそ違うものの似ているなあと。兄ちゃんリスペクトなんだと気づいてスッキリしました。

 ところで、リョータって周囲から影響を受けやすい子なんですかね。純粋とも言えるかも。小、中、高と性格の変化が大きい。回想シーンに出てきたのはその中でも大きいエピソードだけどそれ以外にも多くの出来事を経験してきたんだろうなあが語られずとも伝わりました。

 

「花道が主人公なんか」「花道人望あるな」「シャツ引っ張るのはアリ?」「よく見てる花道こわ」

 桜木花道について。今回の映画はリョータが主役だけど、もしかしてスラムダンクという作品は彼が主人公なのでは?そう思わせるだけの主人公性が花道にはあった。ムードメーカーという表現で合っているのかわからないけど、あの試合は桜木花道が空気を支配していた。プレイ経験などは関係なくフィールド上にいなくてはならない存在、そんなキャラだ。よく見てるし、よく走るし、よく追うし、よく跳ぶ。そしてよく届く。自称ではなく本当に天才じゃん。

 ところでシャツ引っ張るのはアリなんですか?何があってもレッドカードを出さない審判の心が広すぎる。あと審査員?の回避能力も高い。

 

「ひとりぼっちのリョータに声掛けたお前がミツなの」「ちゃんと学ラン白T白シューズ履いてるのかわよ」「どうしてロン毛ストパーに」

 ノリオと一緒にいるロン毛ストパーなヤンキーがかの有名な三井寿なのね。リョータと初邂逅した折にはバスケの上手いお兄さんだったのに中学高校で何があったのか。ビジュアル変わりすぎてて全然気づかなかった。不良だけどつるんでるメンバー含めてみんな制服をキッチリ着てるし上履きも履きつぶしていないところがかわいかったです。チャリチャリ鳴っているのはお財布のチェーンとかなのだろうか。

 

「旅費いくらかかったの」「リストバンドここなの」「ていうかvs山王実質決勝やんけ」

 思うところがあったリョータが沖縄に行ったシーン。そこで現在対戦している山王という学校への認識がただの高校ではなく因縁のある存在へと昇華される。ギャラリーのモブのセリフからこれが決勝戦ではないことが明らかだけれどリョータにとっては最も重要な試合だというのがわかる。なぜこの映画の主役がリョータで、なぜこの高校との試合なのか、その必然性が気持ちいい。ヘルメットのあごひもはしてね。

 

 

「『手のひら』」「兄ちゃんが言ったやつ」

 夜ランニングするリョータに偶然あったヒロイン風味のマネージャーみたいな女の子が言ったセリフから。中学校の球技大会で隣のクラスだったか上の学年のクラスだったかが手のひらに黒マジックで何か書いてた元ネタこれか!と時を超えた伏線回収。「はっくべちゃんも書く?」ってそこのクラスの仲良い子に油性マジックきゅぽっとされたけど「しばらく落ちなそうだからヤダ」って言ったの覚えてる。はっくべちゃん自由に生きているので。

 

「本物の試合見てるみたい」「リョータ話しかけるようになったじゃん」「多くを差し込まなくてもキャラが見えてくるのおもしろ」「ムダが無い」「もはや芸術作品。クオリティが高すぎる」

 主要な回想が終了し、技見せ→不利→個々の覚醒を経て内容的にはここら辺が折り返しポイントじゃないかな。ストーリーの主軸が過去から現在へと切り替わり、スポットライトを浴びるのが個からチームに変わる。試合内における流川の成長、周囲に目を配れるようになったリョータ。そして花道と流川の連携がアツい。この二人、対になる立ち位置のキャラだよね。自称天才とマジの天才。

 

「いろいろ乗り越えてチームになったのが見える」「終盤にはみんな好きになる」「原作履修したくなるのわかるわあ」

 背中を痛めた花道の異変に気づくかどうかでプレイヤーの能力差を描くのもかっこいい。川田真っ先に気づいたよね、よく見てる。マネージャーもすごい。バスケってこんな少人数ドラマなんだなあ。

 大人の目線から見ればここで下げた花道をもう試合に出すわけにはいかない。そんなことわかっているのに動かしてしまうのが桜木花道桜木花道たる所以だなあと思いました。この試合の後の桜木花道がどうなったのかは見たいけど見たくない、複雑感情。

 

「流川の見せ場でラストだと思ったのに花道フェイズ」「花道タフすぎ」「あいつゾンビ?」「まだ行くのか」

 残り数十秒、怒濤の桜木花道。華々しく活躍すればするほど未来が怖い。

 

「もうどっちが勝ってもいいじゃん」「ブザービーーーター!!」

 バスケ詳しくないけどこれは知ってる。シュート放った瞬間に残りゼロ秒になってそのボールが入る熱いやつ。心のスタオベだった。すごい熱い試合、こちらの心拍数まで上がってしまいそう。

 相手チームのキャプテン、欲しかった「敗北の経験」を得られたねえ。その後海外のコートで再びリョータと出会うシーンとか、体格の小さい日本人同士なために同じポジションなとことかエモかった。リョータが黄色いユニフォームに身を包んでいるのもまたエモい。最後の写真よ。

 

 

 さて、どこに挟んで良いのか迷ったので最後に持ってきましたが、リョータのお母さんもまたこの作品の影の主人公と言っても過言ではない気がします。

 まだ小さい3人の子どもを抱えているのに(おそらく)夫を亡くし、それからまもなく長男も事故で喪ってしまう。長男がバスケットボールにおいて天才的なプレイヤーで、その影をいつまでも追いかける次男。自分自身や生活のためにも早く立ち直るべく、きっと否応にもソータのことを思い出させるバスケのことを一度は憎んだんじゃないかな。封をして忘れようとしたのにリョータが許さない。親として、強引に捨てることも引き離すこともできたけど、それは決してしなかった。苦しみながらもリョータ自身の向き合い方を尊重して、積極的ではないにせよ応援する姿、いいお母さんだよなあって思った。

 試合の後の海でのシーンが印象的で、「リョーちゃんおかえり」のセリフは彼女の止まっていた時が動いたんだなあと思った。と同時にリョータも前に進めるようになった。「3日ぶりじゃん」って笑ってたけどそうじゃなくて8年分なんだよね、二人にとっては。17歳になってようやく12歳のソータを追い抜けた、その年齢差では3歳なのに生じた5歳分の差がソータがやはり天才で代わりには成り得ないことを象徴しているのが良かったです。

 この家族にとって妹ちゃんが光だなあと思いました。きっと当時を覚えていない彼女だからこそ前に進める力を持っている。

 

 

 メモの掘り起こしはこれで終了です。すごい作品だった。薦めてくれたいももちさん、いてづきさんありがとう!これにて宿題提出とします。

読書感想文・ケーキの切れない非行少年たち

読書メモ

作品名:ケーキの切れない非行少年たち

発行:2019年7月26日

著者:宮口幸治

購入日:2022年7月2日

読み始め:2022年7月2日

読み終え:2022年7月3日

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 何年か前(おそらく刊行当初)に話題になったとき、興味があったけど買うまではしなかった本。こういうタイプの本って何冊かは持っているけど、どうにも作者の思考や思想で構築された世界すぎてこちらの思考が引っ張られるから読んでいて何が正しいのかわからなくなって苦手。電車や高速バスとかのお供に買って読むくらい。

 コミカライズ版がKindle Unlimited入りしていて2巻まで読み放題の対象になっていたので読んでみました。かなり考えさせる内容で原作にも興味が湧き、電子書籍版を購入。前述の苦手さがあるので電子書籍で買ってよかったなって思いました。紙だとより作品世界に没頭してしまう気がするので。

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 コミックの青年が持っているイラストおよび原作の帯の部分のイラストに見覚えのある人も多いのではないでしょうか?「円が描かれている紙を与え、『これはケーキです。このケーキを三等分する線を引いて下さい』と言われて線を引かせたときにきっちり三等分できない人が一定数います」みたいな内容のツイートがバズっていたような記憶があります。彼らは軽度の知的障害、もしくはそれに近しいもののギリギリそれよりは上で社会的なサポートは受けられず、けれど生きていく上で大変さを抱えている。私生活において家庭や周囲の環境に恵まれていれば適切な補助を受けることもできるが、目を向けられず取りこぼされた子もいて、少年院はそうした子どもたちの行き着く先になってしまっている。概ねそのような内容が書かれています。

 割合でいうと小学校の35人で1クラスだったとして、サポートが必要だと見なされるのが1人、サポートが必要なのに大丈夫と見なされるのが5人程度いるそうです。なぜその5人を含めないのかの理由としては、彼らは一見普通に見えるしそこまで深刻ではないからというのとその5人までサポートの対象に含むとなると支援しなければならない人数が増えて手が回らないからだそうです。

 実際に自分の小中学生の頃を思い出したときに、そういう子確かにいたなあと思いました。日常会話には全く苦労しないのに音読や文章を書くのが極端に苦手な子や、説明を聞いた上でいざやってくださいと指示されると何をしていいのやら動けなくなる子……。高校進学で同じ地域に住む同じ年齢の集団から学力によって区分された集団になったときにまず驚きました。あまりにも息がしやすい。会話するのに相手の理解度を測りながら話を進める必要がないし、予想外の行動に対するフォローを考える必要もない。困っているクラスメイトをサポートするのは当然とはいえ、足並みを揃えなければならないという部分に知らず知らずのうちに抑圧されていたのだなあと思いました。

 そうした生きやすさも学生身分のうちだけで、社会に出ればまた色んな種類の人との関わりが生まれます。入社時の面接や試験があるために小学校ほど無作為な集団ではないとはいえ、学生時代よりは幅広い層の集団になりますし、接客業であればお店のタイプにもよるでしょうがそれはもうあらゆる人々と接することになります。そんな中で、どうにも「この人ズレてるな」という人が現れます。そういった人々に消耗している人がとても多い。これは私の見えている範囲だけに限った話ではないと思います。

 「なんであの人は説明してもわからないんだろう」「これをそうしたら後々困るってわからないのかな」「自分の説明が下手なのかな」「一から十まで紙に書いてあげないといけないのかな」

 思い当たる節はありませんか?多くの人が口にしているのを耳にします。前置きがものすごく長くなりましたが、この本はそんな疑問に対して「そうなんだよ。わからないんだよ」という答えをくれます。それだけといえばそれだけなのですが、相手がわからないことをわかるというのは結構重要なことだと思います。少なくとも私はこの本を読んでストンと落ちました。

 正解の解決法がある問題でもないので、答えをくれるわけではないけれど言語化されることは悩める人のひとつの救いになるのではないでしょうか?

 ちなみに原作とコミック版ではアプローチの仕方に違いがあります。私の感想としては原作は体系化され教科書的な印象を受け、どちらかと言えば会社の社長や学校の先生など多くの人と関わり指導しなければならない人向けなつくりになっていて、コミック版はキャラクターとして人格を持った存在のパーソナルケースに視点を合わせているので、個として人と関わる人向けなつくりになっています。

 お話として楽しみたいのであればコミック版を、勉強のつもりで読みたいのであれば原作版を選ぶと良いと思います。Kindle Unlimited会員であれば読み放題なのでコミック版を試しに読むのもアリかと。

 

 思いの外真面目な内容になってしまった。書きながら「私は何を……?」となっていました。たまにはこういうのもアリ。

読書感想文・きたきた捕物帖

読書メモ

作品名:きたきた捕物帖

2022年3月15日 第1版第1刷

著者:宮部みゆき

購入日:2022年5月23日

読み始め:2022年5月23日

読み終わり:2022年6月11日

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 NGMEさんの定期演奏会の翌日、帰路のお供に購入。

 普段の行動エリアには無い書店なのでブックカバーがレア。書店ごとのブックカバーの違いを楽しむのも好き。エコではないけれど。積読本が多いので未読本はブックカバー有り、既読本はブックカバー無しで管理しています。とはいえネットとか中古で買うとカバーが付いてこないのでカンペキではない。

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 「きたきた捕物帖」は作者の得意な時代、得意なフィールドの作品でした。江戸時代、本所深川が舞台の物語。これまでの作品で同一の時代・場所のシリーズはいくつかありましたが、明確にリンクさせてくるのは初めてかも?はっきりと断言できないけれど。

 同じく江戸時代設定の三島屋変調百物語シリーズと同様にライフワークにするということなので、きっと長く続くシリーズになる、といいな。怪談寄りなのが三島変調百物語シリーズ、ミステリー寄りなのがきたきた捕物帖シリーズだと思っていいはず。とはいえ三島屋~にもミステリーな話はあるし、きたきた~にも怪談な話はあります。その配分が違うってだけ。

 

 第一巻にあたる今作は短編4話で構成され、主人公の北一が周囲の手を借りながら不可思議な出来事を解決しながら少しずつ成長し、やがて独り立ちするまでのお話。季節は初春から夏まで。

 各話で少しずつ季節を動かしてくのやっぱり上手いよなあって思いながら読みました。髪の結い方とか着物の意匠の描写が多かった印象。同じ世界観設定の作品の中でも以前は食べ物の描写が多かった記憶があるので、時を経て作者の興味が移っていったのかな、それとも主人公や作品として変えているのかなと考えながら読むのが楽しいです。私は前者だと思っています。その時代のなんたら染めとか何々織りとかホニャララ巻きとかサッパリなので、そういうのまとめられている資料集みたいなのどっかにないかな、欲しいなと思いつつしっかりと探していない。いずれ見つけて入手したいけどそれはいつになるのか。

 

 第一話「ふぐと福笑い」。まずタイトルがいい。初っぱなから主人公の親分がフグ毒に当たって死んだり、災いをもたらす福笑いが登場したりと内容は決して明るくはないけれど、一発目として縁起がよさそうなタイトル。この福笑いは目隠しをした上で置き直しは禁止、一度できちんと整え最後にみんなで褒めて箱に入れて封じない限り災いをもたらすという怪異めいた存在。それもまたいい。一発目に怪談チックな話を持ってくることで、そういう雰囲気のシリーズなのかなと思わせておいてからの以降は人間が原因のミステリーにするという手法。特に第二話の「双六神隠し」によく効いた。毎話毎話今回はどっちかな?って思いながら読む楽しさがある。

 今後もう1人の主人公になるであろうキャラの初登場回でもある第三話「だんまり用心棒」はすごかった。一見関係なさげに思える小粒のエピソードが最後に繋がり合うのは気持ち良い。北一視点で進むという縛り?があるため、個々のエピソードの最初と最後の時間経過が長くなり、そういうのってまとめづらくなるのにそれを綺麗に収めるのは技量の高さが成せる業だよなあと思いました。これができるのは並大抵のことじゃないというのはド素人の一般読者な私でもわかる。お話としても作中で一番の盛り上がりどころでアツいです。

 第四話「冥土の花嫁」は本筋の謎解きよりも北一の独り立ちへ向けての奔走の方が印象強かった。第一話(あるいはそれ以前)から出会ってきた人々に支えられ、助けられ、自身を厄介者扱いしてくる者と決別し立ち上がる様は今後の展開や作品の雰囲気を象徴する姿になっている…………と私は思います。早く喜多次とニコイチになっておくれ。また作品通して冷静に北一の影なるブレーンとして支援しているおかみさんが熱くなって大芝居を決めるのもまたカッコイイ。盲目なのにあやまたずビシッと十手を突きつけるシーンはそこだけでも映像化希望する。盲目の千里眼かっこよいよ。

 

 職場の昼休みに少しずつ読み進めていたのだけれど、やっぱり続きが気になって最後は持ち帰って一気に読みました。良い作品は良いのです。自明の理。なんと次の巻も既にハードカバーでは出ています。気になる~!ただハードカバーは持ち運びしづらいので文庫本になるのを待とうかと思っています。こっちも文庫本までは待ったわけだし待てる待てる。でもなあ、早く読みたいなあ。ぐぬぬ